親からの電話
爽快な休みの朝
夢うつつの心地よさの中
けたたましい着信音が響く
画面には
【実家】
何があっても電話なんかしてこない実家
親父が屋根から落ちて骨折したって電話なんかしてこない
嫌な予感しかない
振るえた手で電話に出る
母「兄ちゃん…話あるんやけど…」
俺「どした!?早く言ってくれ!」
母「妹さぁ…いい人おらんのかね?」
俺「……それ本題?」
母「うん。そう。これ」
自分を産んでくれた恩人に対して軽い怒りがこみ上げるが我慢する
俺「俺、妹の連絡先知らない。じいちゃんの葬式で5年前会ったけど挨拶すらしてない。てか、俺の結婚式すら来てないじゃん」
母「そやなぁ。いや、浮いた話を聞かんのよ。今多いやん。親にカミングアウト?ってのできんて。あんたから『心配しなくても、お父さんもお母さんも、あなたの心が男の子でも女の子でも構わない』って言ってもらおう思てねぇ」
子供に対し、理解があるのかないのか
母「私、メールとか得意やないやん?ダイン?っての。メールより手軽にできるやつ。電話やと聞きにくいし、あんた聞いてよぉ」
俺もダインという連絡ツールは初耳だ
そうは頼まれても、連絡を取るすべもない上
突然連絡して話題がそれじゃ速攻シャットアウトされるだろう
俺に頼みごとなんてしたことのない親の気持ちに応えたいが
早速暗礁に乗り上げる